Advent Calendar(アドベントカレンダー)は、クリスマスまでの日数を数えるために使用されるカレンダーです。
FabLab SENDAI – FLATではこれに倣って、クリスマスシーズンになると色んな方法で毎日1つ数字を作ってきました。
(2019年の作品はこちら)(2020年の作品はこちら)(2021年の作品はこちら)
今年は、第4回目のアドベントカレンダーチャレンジ!12/25まで、さまざまな作り手に参加してもらい数字を作っていきます。見事完走すれば100個の数字が作られたことになる記念すべき年に、どんな作品が見られるのでしょうか?
2022年の2日目はこちら ↓
“2” by Fumiaki Yokoyama
皆さん一度はハマったことがあるはず!
そうです、パズルです。
パズルと数字をモチーフに木象嵌技法を使い彫ったり切ったりくっつけたりしてみました。
木象嵌(もくぞうがん)技法とは
木材を切り取り、同じ大きさ、形に象(かたど)った他の木材を嵌(は)めこむことで色彩を表現する日本の伝統工芸です。
象嵌ってパズルみたいなものかなと考えながら、形の違うピースを組み合わせることで出来る色彩表現ってなんか素敵やん・・
[材料]
・色んな種類の木材
・仕上げのオイル
[技術]
・木象嵌
・データ作成:Adobe Illustrator
・木材加工:Shopbot(CNC)
[道具]
・ShopBot(CNC)
・トリマー
・手押し鉋、自動鉋などの木工機械
・サンダー
作り方
木材加工でパズルのような有機的な形状を切り抜くやり方は何パターンかありますが、今回はShopBotを活用して形状の切り出し、彫り込みを行っていきます。
STEP1
切り出し用のデータを作ります。
パズル形状色々作図してみたけど、シンプルな形って意外と難しいです。
STEP2
試作をします。
パズルの組み合わせ部分がきつすぎず、緩すぎず丁度いいはまり方を目指します。
まずはMDFで形を切り出していい数値を探ります。
-0.1mmオフセットして切り出すことにしました。
データ上ではパズル同士の隙間が0.2mm開くことになります。
ほぼほぼ、データ通りな感じで切削出来ました。手応え的には緩いかなとも思いますが、おそらく精度にばらつきも出ると予想しこのオフセット値のまま無垢材で試作をします。
無垢材で切削してみるとビッタビタですよ!ん~・・まあ、これでいこうと思います。
パズルを組んだ状態で彫り込みをするので、緩いよりはよいかと判断してこのままで。
STEP3
パズルを切り出していきます。
材料の厚みは20㎜
今回は端材の活用目的もあり、いろんな樹種の木材をフィーリングで選び使用します。
切り出しのエンドミルは12mmを使用します。
概ねいい感じに組めるものの、木材の硬さの違いのせいか、パズルの形状の違いか、やはりそれぞれのピースで精度が違う‥
STEP4
パズルに嵌め込む図案の切り出しをします。
先に「2」の文字を加工します。
これもクリアランス-0.1mmに設定
次にパズルに「2」の文字の彫り込みをします。
先に嵌め込む用の文字を切り出し、その後にパズルに彫り込みをし、嵌まり方を確かめつつクリアラスを調整します。
少しきつめに仕上がり、上出来です。
STEP5
糸鋸でピースごとの形に切り出していきます。
エンドミルで切削すると直径分ロスが発生し木目が離れてしまい繋がってみえなくなるので、木工の切断道具の中でも細い糸鋸刃で形を切り出すことにしました。
ピース、文字の切削は2mmぐらいのエンドミルでも試作し無垢材の切り出しは出来ましたが、刃が折れるリスクと切削の進行方向が変わり形が切り替わるところの精度が納得行くところまで追い込めなかったこともあり、12mmのエンドミルを使用しました。
STEP 6
嵌め込むパーツの切り出しが完了したので、それぞれ対応するピースと接着します。
STEP7
トリマーで面取りして、オイルで仕上げます。
裏表で表情の違う加工をしてみました。パズルの難易度も上がってます。
一面は図案部分のみ同じ木材、文字の部分が少し出っ張るデザイン。
もう一面は違う種類の木材を嵌め込みフラットに仕上げました。
パズルとしての精度もいい感じに仕上がり、オモチャ感も出て、見て触って遊んで楽しいプロダクトが出来上がりました。
PEACE!!
作者紹介
横山 文昭
京都市在住 2021年4月〜フリーで活動中
滋賀県の家具屋(近江家具商人)で家具製作
京都芸術大学内の共通工房ウルトラファクトリー臨時スタッフ
木工を中心に仕事を受けつつ、オリジナルプロダクトを製作しています。
過去にライブなど大型イベントの装飾の仕事も経験しており、様々な素材、大小問わず何でも作ります。
絶賛誠意奮闘中!!