こんにちは、スタッフ小野寺です!
前回から引き続き、『手すき和紙工房 潮紙』さんでの紙漉実習についてご紹介します。
(前回までの様子はこちら→https://fablabsendai-flat.com/ushiogami_14121112/)
///
トロロアオイの準備が済んだら、次は紙漉きに使う道具の用意にとりかかります。
まずは、台の上に簀(す)の大きさに合ったフェルトを敷き、基準となる部品を左手前に設置します。この部品を左右に設置してガイドにすることで、漉きあげた紙を綺麗に積み重ねていくことができるんですね。
次は漉き舟の中にだいたい15cmほど水を張り、その中に簀を入れて水をなじませていきます。まず簾を水に浮かべたら、そのままくるくるとのり巻きのように巻いていきます。そしてひっくり返して逆方向にも巻いていき、裏表どちらにもしっかりと水につけます。更に、紙漉きの枠となる桁(けた)にも水をなじませておきます。
しっかり水がなじんだ簾を丸めて、両端を地面等の平らな部分に打ち付けます。こうすることで、乱れていた簾の目が真っすぐに整うのだそうです。
はじめに用意したフェルトの上に簾を広げ、上からまんべんなく水をかけていきます。フェルトにしっかり水を含ませておくことで、漉いた紙をきちんと安定させながら重ねていくことができます。
道具の準備が完了したら、次は原料を用意します。はじめに、和紙の原料である楮を水の中に入れてほぐしていきます。(今回は予め仕込み作業の済んだ原料を使わせていただきました。)
ところどころ楮繊維が水面にポツポツと現れるくらい、漉き舟一面に原料を広げていきます。
時間が経つとどんどん楮が舟の底に沈んでしまうため、それを防ぐためにトロロアオイの粘液を入れていきます。水に付けていただけなのに、びっくりするほどたくさんの粘液が出てきます。漉き舟全体にまんべんなく楮が散るよう竹の棒で混ぜたら、いよいよ紙漉き作業です。
「紙は“調子”で漉いていきます。」と塚原さん。その“調子”を掴むために一番良いのが、歌をうたいながら紙を漉くことなのだそうです。確かに、日本の和紙産地には各地に独自の紙漉唄がありますし、他の伝統工芸や技術においてもそれぞれの唄をもっていることがよくあります。
塚原さん作の『かみすきうた』に合わせて紙を漉いていきます。トロロアオイの強さや楮の量によって漉き方を変える必要があるとのことですが、慣れないうちはまず自分の調子を整える(把握する)ことから始めます。(私の漉き作業の写真はうっかり撮影し忘れていましました…)
塚原さんにご指導頂きながらひたすら紙を漉き、2日間で約100枚の紙ができました!この後、更に2日間かけて紙を漉き、加圧脱水と乾燥作業を行なっていく予定です。
///
2日間かけてトロロアオイの仕込み〜紙漉き工程までを学ばせて頂きました。また来週、2日間かけて紙漉と乾燥作業を、来月には楮の蒸かし、皮むき、塵取り作業を体験させていただく予定です。そちらについてはまた後日レポートさせて頂きます!
また、始めに漉いた紙の乾燥が完了次第、デジタル工作機器を使った紙の加工・作品制作や、紙漉きに使用する道具のプロトタイピングなどを行なっていきます。こちらのプロジェクトについては、スタッフだけでなくぜひみなさんと一緒に取り組んでいけたらなと考えていますので、ご興味のある方、ぜひ参加されたいという方は、小野寺までお声掛けくださいね!