この記事は、FabLab SENDAI – FLATユーザーの氏家 淳さんに執筆していただきました!

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OpenPressによるアクリル版画〈前編〉
OpenPressによるアクリル版画〈後編〉


<2>アクリル版画

1. プレス機で何をする?
OpenPressのサイトでは、このプレス機を使った簡単なエッチング版画のやり方が紹介されている。
ここでは飲料のアルミ缶からアルミ板を切り出してそこに先のとがったもので絵を描いて溝を作り、
インクを摺りこみ、紙をのせてプレスして版画を作る手順が手際よく紹介されている。

見ていると簡単にできそうなので、版画を試してみよう。

 

2. エッチング版画
図書館でエッチング版画について調べてみる。
エッチングは保護膜をつけた銅版に針で絵を描いて保護膜を剥がし、腐食液で溶かして版に溝を形成、
インクを溝に摺りこんでプレス機で紙に転写するという手順。
銅板上の溝に入り込んだごく微量のインクを紙に写さないといけないので、
プレス機で強い力をかける必要があると思われる。

今回はちょっと試したいくらいなので、専用の薬品や道具を揃えることはせず別のやりかたを工夫する。

 

3. アクリル板を使った版画は
レーザー加工機の講習を受けたので、アクリル板に彫刻して
溝を作りそこにインクを入れて版画をやってみることにした。
アクリル板の版画など聞いたことがないので溝がどの位の幅や深さならいいのか全然わからない。
いろいろ条件を変えて試し刷りをして感触をつかむことにする。
※使用機材:Oh-Laser HAJIME

 

4. 試し刷り
アクリル(3mm)に線の細さをいろいろに変えた版(A)と、
レーザー加工機の設定で彫刻の深さをいろいろに変えた版(B)の2種類を作成。

(A):線幅 0.25, 0.50, 0.75, 1.00, 1.25 mm の5種類のぐるぐる模様

線幅は細い(0.25~)ときれいな細い線で出るが、太くなる(1.00~)と真ん中が抜けた二重線になってくる。

(B):彫刻 出力/スピード
1. 45%//20cm/s,  2. 45%//30cm/s, 3. 45%//10cm/s,  4. 40%//20cm/s, 5. 60%//20cm/s の5種類のアルファベット
(印刷したら鏡文字になってしまったが気にしない)

・レーザーの深さではインクの濃さに多少は違いがあるものの、あまり変わらない。

最終版として椿の葉っぱの絵でアクリル版を作った。
葉脈と輪郭で3種類の太さの線を使い分けた。太い線は二重線になるのを期待。

5. 決定刷り(作業手順)
・版をプレス機の台に両面テープで固定。シリコンのへらを使用して版にインクを摺りこむ。
 余分なインクはへらで除いて、更に新聞紙を丸めたものでふき取る(溝のインクのみが残っているようにする)。

・刷毛で水を塗って湿らせた紙をそこに乗せる。

・厚めのフェルトを1~2枚重ねる。

・プレス機に紙とフェルトを乗せた台をセットする。
つまみを回してローラーがきつくフェルトを締め付けるように調整する。

・プレス機のハンドルをゆっくり回して台を送る。

・終わりまで行くと台が外れるので、紙を取り出して確認。うまく刷れた?


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