こんにちは、スタッフますだです。

FabLab SENDAI – FLATでは、4月から『Material Finishing Workshop』という新しいワークショッププログラムが始まりました。このプログラムでは、レーザーカッターや3Dプリンタを使って作られた造形物の“仕上げ方法”を学んでいきます。

第2回目となる今回は、 宮城県石巻市に工房を構え、無垢の木を使った家具や作品を製作されている 木のしごと 樹々 齋藤英樹さんをお招きし、ウッドボードを作りながら、木材のやすりがけやオイルフィニッシングについてレクチャーしていただきました。

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まず始めに、齋藤さんからそれぞれの木材の性質についてご説明いただきました。「適材適所」という言葉があるように、木材は種類によって用途が異なり、加工する向きによって強度が変わってきます。DIYをするときはみなさんよくホームセンターなどで材料を購入されるそうなのですが、これまでは木目の雰囲気や軽さだけで材料を決定されていたとのことでした。今後は事前に木材の性質を調べてから購入するとつくったものがより一層丈夫でうつくしい仕上がりになると思うので、ぜひ実践してみてくださいね。

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また、今回はウッドボードの他に、ひとりひとり好きな葉っぱの形をチョイスしてコースターもつくることにしました。5mm厚に揃えられた木材をレーザーカッター trotec speedy 100を用いてどんどん切断加工していきます。初めて見るレーザーカッターにみなさん興味津々です。他機種のレーザーカッターを見たことがある方も、この圧倒的な加工スピードの速さに大変驚いていらっしゃいました。

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そしてようやく、ヤスリ掛けの作業に取りかかります。オイルフィニッシュをきれいに行う為に、まずは素材の表面をヤスリ掛けしていきます。
レーザーカッターによる焦げはまずウェットティッシュで拭きます。べたつきや焦げをしっかり拭き取っておくときれいな仕上がりになります。ただし、ウェットティッシュにはアルコール分が含まれているタイプが多いので、表面に水分を吸い込ませすぎないよう注意しましょう。(アルコールは溶剤と一緒です)

木材に限らず、広く平らな面をヤスリがけする場合はヤスリと素材が平に接するよう心がけます。紙ヤスリを手で持った状態で動かすと、指の凹凸に合わせて素材がやすられてしまい、結果平に加工することができません。必ず当て木をして、表面全体にまんべんなく傷をつけるようにやすっていきます。(今回はヤスリの裏面と当て木用の木材を両面テープで接着しました)

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また、レーザーカッター等で木材を切断加工すると断面に焦げがつきます。その場合は、先程のステップ同様ヤスリがけを丹念に行うか、焦げつき部分を削ぎ落とす方法があります。
削ぎ落としを行う場合は、まず素材をクランプでしっかりと固定し、カッターの替え刃を素材に対して垂直に立てるようにして手前から奥へ動かしていきます。その際、替え刃の中心を両方の親指で気持ち押し出すようにたわませ、角度も垂直ではなく上側を少し手前に倒すようにすると、カンナ掛けのようにスルスルと素材が削れていきます。
これには参加者のみなさんもびっくり&大興奮でした!気持ちが良いくらいきれいに削げます!

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最後にオイルフィニッシュの工程に移ります。
今回は天然のクルミの油と、オスモ ノーマルクリアの2種類を使用します。

まずはクルミの油で仕上げをする場合。クルミの殻をハンマー等で割って中の実を取り出します。取り出した実は適当な布(不要になったシーツ等で可)にくるみ、てるてる坊主を作る要領で輪ゴムでしっかり口をしたあと、ハンマーで軽く叩きながら布地に油を染み込ませていきます。

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オスモ ノーマルクリアの場合も、適当な布(不要になったシーツ等で可)にオイルを染み込ませ、刷り込むようにして仕上げをしていきます。
今回はワークショップ開催時間の関係上、こちらのオイルはお土産として持ち帰っていただき、ご自宅でオイルフィニッシュに挑戦!ということにさせていただきました。齋藤さん、ありがとうございます!

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最後に、完成したコースターを並べて撮影させていただきました。コースターの仕上げで作業工程と仕上がりの状態をしっかり学んでいただいたので、残りのウッドボードは、それぞれ好きなオイルを選んでいただきご自宅で仕上げていただきます。クルミのオイルのように、天然の木の実を潰してオイルフィニッシュをしてみるという方もいらっしゃいました。完成したらぜひ見せてくださいね!
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今回のワークショップで学んだ内容については、下記のページに情報をまとめています!

『自分の手で仕上げるウッドボードづくり-http://fabble.cc/fablabsendai/mfw150614

今後も『Material Finishing Workshop』では様々な分野のゲストをお招きし、素材の仕上げ方法についてお教えいただき、その情報をどんどん蓄積していく予定です。

次回もどうぞお楽しみに!


使用機器:trotec speedy 100
素材設定:
ヤマザクラ……CUT POWER 50, SPEED 0.6
ブラックチェリー……CUT POWER 40, SPEED 0.6
クルミ……CUT POWER 50, SPEED 0.6
ウォルナット……CUT POWER 45, SPEED 0.6
イタヤカエデ……CUT POWER 50, SPEED 0.6
ホオ……CUT POWER 35, SPEED 0.6
ケヤキ……CUT POWER 45, SPEED 0.6
クリ……CUT POWER 40, SPEED 0.6
カシ……CUT POWER 60, SPEED 0.6
ホワイトオーク……CUT POWER 53, SPEED 0.6
※すべて5mm厚